ブルージャイアント

皆さんいかがお過ごしでしょうか?周りの山々はすっかり紅葉で彩られ、南アルプスはすっかり冬の横顔をのぞかせています。空を見上げれば薄い鱗の雲が広がっていて、朝焼けに垣間見る富士山と雲とのデュエットに縮む心も癒されて広がっていくようです。

さて、話は変わりますが、皆さん電子書籍読んでますか?Kindle的な。iPadとかタブレットで読むと画質も綺麗で便利です。配信もあっと言うまですし、見たい時にすぐ見れるのはいいですよね。それで秋の夜長に画面と睨めっこしていて気がついたら朝になんて経験ある方もいるのでは。最近私はそんな経験しました。それはある漫画に触れたからです。それは

石塚真一さんのBLUE GIANT ブルージャイアント

です。読んだ方いるでしょうか。著者は「岳-がく」と言う登山漫画でも有名な方です。ブルージャイアントはジャズをテーマにした漫画で、仙台に住む青年がテナーサックス1つで活躍していく過程を描いています。今ではヨーロッパで活躍したのちに、アメリカのシアトルに上陸してこれから本場でどう活躍して行くのか、と登場人物もどんどん成長していっております。ヨーロッパ編、アメリカ編合わせて単行本22巻発売されています。

この漫画の何がすごいかと言うと一言で言えば「音が聞こえてくる」と言うことでしょう!私はジャズに全く詳しくないですが、漫画を見ていると聴こえるはずのない音が聞こえてくるんです。絵から飛び出してくる音に酔いながら、その画力に圧倒されてもうポチポチが止まらない。気がついたら全巻ポチポチしちゃいました。でも、全くウェルカム!アマゾンが「誤って購入しましたか?」に「いえ、欲しいから購入しました!」って言っちゃうくらい読んで損はないほどです。それに、全くの素人みたいな私でさえジャズを聞きたくなっちゃうんです。上原ひろみさんのピアノとかね。なんていうか、ジャズって今まで身近になかったんですが、なんにでも触れてみるものですね。クラッシックのピアノ曲とかまあ聞いていたんですけど、同じ楽器とは思えない側面を見せてくれるのには驚きです。新鮮。音楽って奥深いですね。

漫画の中で痺れるエピソードや登場人物はたくさんあってここでは書ききれませんが、1人だけ取り上げます。この漫画の中で主人公にサックスをレッスンする先生が出てきます。この人のドラマがまた良い味が出ているんです。彼は幼い頃から父親の影響でジャズに触れ、サックスプレイヤーとしてアメリカのバークリー音楽学校(名門中の名門)にも行きます。ですが、プレイヤーとしては引退して音楽教室を開いています。彼の言葉を借りれば、蕾はあったけど花が開かない、とのことのようで、演奏のうまさ以上の何かが自分に足りなかったとのことでした。それがなんなのかは漫画の中で描かれているのですが、私が感じたのは音楽って楽しいけど、残酷だってことです。聞く方は楽しい、演奏するのは楽しい、でも、演奏家として成功するのはとても難しい。この漫画ではそれがとてもよく描かれているんです。色々な演奏家が出てきますし、それぞれに想いや背景が描かれておりますから、音楽とのいろいろな付き合い方も出てきます。

彼は演奏家としては諦めましたが、音楽を捨ててはいませんでした。ジャズを嫌いになりかけていましたが、ジャズを離そうとはしなかったんです。そして、主人公と会ってジャズをもう一度好きになったんですね。でも、元々好きだからそうなったんだと思います。好きなものからは離れられませんからね。彼は生徒達や友達なんかの音楽を愛する人に寄り添いながら、自分の中の音楽とつきあっていくのでしょう。それも想いが強いってことですよね。その姿に私は敬意を持ちます。やっぱり単純明快な感情「好き」って大事なんだなって思いました。

皆様も単純明快な感情で、秋の夜長に漫画とジャズで暫し時間を忘れてみてはいかがでしょうか?
それではまた。

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