ライブやレコーディング、イベントなど、さまざまな場面で使われているマイク。
普段何気なく使っているマイクにも、実は**「どの方向から来た音を拾いやすいか」**という特性があります。
それが今回のテーマ、**マイクの「指向性」**です。🎵
「マイクは近くの音を全部同じように拾っている」と思われることもありますが、実際にはマイクによって音への反応の仕方が異なります。
指向性を知っておくと、
「なぜマイクは正面に向かって歌うの?」
「なぜスピーカーの位置が重要なの?」
「録音するとき、マイクをどこに置けばいいの?」
といった疑問も少しずつ理解できるようになります。
今回は初心者の方にも分かりやすく、代表的な指向性を見ていきましょう。🔍
🎙️ そもそも「指向性」とは?
マイクの指向性とは、簡単にいうと**「マイクがどの方向から来る音に対して、どれくらい感度を持つか」**という特性です。
その特性を円形のグラフで表したものを**ポーラーパターン(Polar Pattern)**と呼びます。マイクを中心に置き、周囲360度のどの方向から音を拾いやすいかを表します。
代表的なものを大きく分けると、次のようになります。
|
指向性 |
音を拾いやすい方向 |
特徴 |
|---|---|---|
|
🔵 無指向性 |
全方向 |
周囲360度の音に反応 |
|
❤️ カーディオイド |
主に正面 |
背面からの音に対する感度が低い |
|
🎯 スーパーカーディオイド |
正面中心+少し背面 |
カーディオイドより正面の範囲が狭い |
|
↔️ 双指向性 |
正面+背面 |
左右からの音に対する感度が低い |
ここから、それぞれの違いを詳しく見てみます。
🔵 無指向性|周囲の音を広く拾う
**無指向性(Omnidirectional)**は、全方向から来る音に対して基本的に同じように反応するタイプです。
ポーラーパターンを平面で見ると、ほぼ円形になります。
例えばテーブルを囲んだ複数人の声を収音したい場合など、特定の一方向だけを狙うのではなく、周囲の音を広く収音したい用途に向いています。
一方で、
「正面の音だけ拾って、後ろの音はなるべく拾いたくない」
という使い方には向いていません。
周囲の音や部屋の響きも入りやすいため、用途や環境に合わせて使うことが大切です。
❤️ カーディオイド|ライブでもよく使われる代表的な指向性
マイクについて調べると、よく登場するのが**カーディオイド(Cardioid)**です。
カーディオイドは単一指向性の代表的なパターンで、正面からの音に最も感度が高く、真後ろからの音に対する感度が最も低くなる特性があります。
「Cardioid」という名前は、指向性をグラフにしたときの形がハート(心臓)のように見えることに由来します。
ちなみに、ライブなどで定番のShure SM58やSM57もカーディオイドです。
ボーカルマイクを使うときに、マイクの正面を口へ向けることが重要なのも、この指向性が関係しています。
🎯 スーパーカーディオイドはもっと狭い
カーディオイドよりさらに正面方向への指向性を狭くしたものの一つが、**スーパーカーディオイド(Supercardioid)**です。
Shureの解説では、カーディオイドのピックアップ角度が約130度なのに対し、スーパーカーディオイドは約115度とされています。
ただし、ここには面白いポイントがあります。
スーパーカーディオイドは真後ろの音を完全に拾わないわけではありません。
カーディオイドでは真後ろが最も感度の低い方向ですが、スーパーカーディオイドでは後方にも小さな感度があります。そのため、ステージでモニタースピーカーなどを配置するときは、マイクとの位置関係にも注意が必要です。
「指向性が狭い=後ろの音を全部カットする」
というわけではないのがポイントです。
↔️ 双指向性|前と後ろを拾う不思議なタイプ
もう一つ面白いのが、**双指向性(Bidirectional / Figure-of-Eight)**です。
名前の通り、
正面と背面からの音に対して感度が高く、左右からの音に対する感度が低い
という特徴があります。
指向性のグラフが「8」の字のように見えるため、**Figure-of-Eight(フィギュア8)**とも呼ばれます。
例えば、向かい合った2つの音源を1本のマイクで収音するといった使い方が可能です。また、レコーディングではステレオ収録などにも利用されます。
初心者のうちは頻繁に使う機会がないかもしれませんが、
「前だけではなく、前後を拾うマイクもある」
と覚えておくと面白いでしょう。😊
🤔 「指向性マイク=遠くの音まで拾える」は少し違う
ここで、よくある誤解も一つ。
指向性の強いマイクは、
「正面にある遠くの音を拡大して拾っている」
わけではありません。
基本的には、正面以外の方向から来る音に対する感度が低いため、結果として狙った方向の音を捉えやすくなるという考え方です。
カメラのズームレンズのように、マイクが遠くの音だけを引き寄せているわけではないんですね。
🔊 指向性は「ハウリング」にも関係する
ライブやイベントで、
「キーン!」
という大きな音を聞いたことがある方もいると思います。
これは一般にハウリング(フィードバック)と呼ばれる現象です。
スピーカーから出た音をマイクが拾い、それが再び増幅されてスピーカーから出て、さらにマイクへ戻る……というループによって発生します。
単一指向性マイクは、無指向性マイクより不要な方向からの音を抑えやすいため、適切に配置することでフィードバックを抑えるうえでも有利になります。
だからこそ、PAでは**「マイクの向き」と「スピーカーの位置」**が重要なのです。
🎤 マイクに近づくと低音が増えることも?
指向性マイクについて知っておきたいもう一つの特徴が、**近接効果(Proximity Effect)**です。
カーディオイドなどの指向性マイクでは、音源へ非常に近づくと低音域が強調される現象が起こります。
ボーカルでマイクとの距離を変えると声の印象が変わることがあるのは、この影響も一つです。
逆に無指向性マイクでは、原理上この近接効果は基本的に生じません。
こうした特性を理解すると、マイクとの距離も「ただ近づけばいい」という話ではないことが分かってきます。
🎵 指向性を知ると「マイクの向き」に意味が見えてくる
マイクは、ただ音を大きくするための道具ではありません。
どの方向の音を拾うのか。 どの方向の音を抑えるのか。
その特性を理解して設置することで、ライブ、レコーディング、イベントなどでマイクをより適切に使えるようになります。
今回覚えておきたいポイントをまとめると、
|
覚えておきたいこと |
ポイント |
|---|---|
|
無指向性 |
周囲の音を広く拾う |
|
カーディオイド |
主に正面を拾い、真後ろへの感度が低い |
|
スーパーカーディオイド |
正面がより狭いが、後方にも感度がある |
|
双指向性 |
正面と背面を拾い、左右への感度が低い |
|
指向性 |
「音が届く距離」ではなく「方向に対する感度」の特性 |
普段使っているマイクがある方は、ぜひ型番と一緒に「Polar Pattern」や「指向性」の項目もチェックしてみてください。
いつも見ていたマイクが、少し違って見えてくるかもしれません。🎤✨
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